増粘多糖類ってよく聞くけど何?

添加物

 増粘多糖類ってよく聞くし,実際よく見る。添加物関係の本でもそんなに悪いとは書かれていないが,多糖類って書いてあるので,糖分が入っているだろうことはわかります。今使っている米粉餃子の皮や,米粉うどんなどに入っている食品添加物,増粘多糖類とは何なのかについてちょっと調べてみました。

増粘多糖類とは?

 増粘多糖類は,増粘剤の一種で,食品添加物としては「増粘多糖類」と表示されることが多く,2種類以上の多糖類を使用する場合にこの表記が可能となる。主に食感やとろみを調整するために使われる粘性の高い水溶性の多糖類で,以下の特徴がある

  1. 食品の食感を改良し,おいしさに貢献
  2. 粘性の付与,安定性付与,ゲル化性付与など,幅広い目的で使用される
  3. 天然由来の成分が多く,澱粉や果実,藻類などから抽出される

増粘多糖類が使われている食材は?

 増粘多糖類が使われている食材および,使われている主な増粘多糖類の成分は下記のとおり。まあ,4毒を摂らなければ,避けられるものが多いですが,4毒以外もあるようなので,注意が必要です

  • ジャム(ペクチン,カラギナンなど)
  • ゼリー(ペクチン,寒天,カラギナン,グァーガムなど)
  • プリン(カラギナン,グァーガムなど)
  • ヨーグルト・ドリンクヨーグルト(ペクチン,カラギナン)
  • アイスクリーム(カラギナン,グァーガム,ローカストビーンガム,タマリンドシードガム,スクシノグリカンなど)
  • ホイップクリーム(グァーガム,ローカストビーンガム)
  • ハム・ソーセージ(カラギナン,グァーガム)
  • チーズ(カラギナン)
  • 佃煮(グァーガム)
  • ドレッシング(キサンタンガム)
  • ソース・タレ(キサンタンガム,グァーガム,ローカストビーンガム,カラギナン)
  • 缶コーヒー(カラギナン)
  • 果汁飲料(ペクチン,アラビアガム)
  • パン(アラビアガム)
  • 冷凍食品(キサンタンガム,アラビアガム)
  • ふりかけ(アラビアガム,大豆多糖類)
  • 米飯加工品・あられ・麺類(アラビアガム,大豆多糖類,グルコマンナン)
  • 羊羹・ところてん(寒天)
  • お菓子全般(アラビアガム,ペクチン,寒天など)
  • 顆粒状食品(調味料など)(アラビアガム,大豆多糖類)
  • 介護食(寒天)
  • パン(アラビアガム,グルコマンナン)
  • 麺類(グルコマンナン)
  • 飲料全般(アラビアガム,ペクチンなど)
  • 冷奴(増粘多糖類使用例あり)
  • 今川焼(増粘多糖類使用例あり)

増粘多糖類の具体的な成分は?

 では,増粘多糖類の具体的な中身は何なのか。調べてみると,様々な天然由来の成分が含まれているようです。主な成分は以下の通り

  1. キサンタンガム:微生物(Xanthomonas campestris)の発酵によって産生される多糖類。ドレッシングやタレの粘性付与や分散安定に利用される
  2. グァーガム:豆科植物「グァー」の種子から得られる多糖類で,ソースの増粘や佃煮の離水防止に使用される
  3. カラギナン:主に紅藻類から抽出された多糖類で,ハムやゼリーの弾力付与,ソースの増粘,分散安定に利用される
  4. ペクチン:かんきつ類やリンゴなどの果皮から抽出された多糖類で,ジャムやゼリーのゲル化,酸性乳飲料のたんぱく分散安定に使用される
  5. カロブビーンガム(ローカストビーンガム):カロブ樹の種子の胚乳から得られた多糖類で,ソースの粘度付与やアイスクリームの安定剤として利用される
  6. アラビアガム:マメ科アカシア属の植物の樹液から得られる多糖類で,香料の乳化や飲料,チューイングガムのコーティングに使用される
  7. 寒天:テングサ科、オゴノリ科などの紅藻類から抽出される多糖類。ゼリーのゲル化剤として使用される
  8. アルギン酸:コンブやワカメなどの褐藻類から抽出される多糖類で,小麦製品の品質改良剤などに使用される
  9. ジェランガム:微生物(Sphingomonas elodea)から産生される多糖類。ゼリーのゲル化やジャムの離水防止に使用される

 これらの増粘多糖類は,食品の粘性付与,安定性向上,ゲル化など,様々な目的で使用されているようです

増粘多糖類の発がん性は?

 増粘多糖類の発がん性については,一部の成分で懸念が示されていますが,人体への直接的な危険性は現時点で確立されていない模様。主な点は以下の通り

  1. カラギーナン:げっ歯類の実験で発がん性が指摘されていますが,人間や他の動物では同様の結果は確認されていない。国際がん研究機関(IARC)は,未分解カラギーナンをグループ3(ヒトに対する発がん性は不明),分解物をグループ2B(ヒトに対して発がん性の疑いがある)に分類しています
  2. トラガントガム:マウス実験で前胃に乳頭腫やがんの発生が確認されている
  3. ファーセレラン:発がん性の指摘がありますが,具体的な研究結果は示されていない
  4. キサンタンガム:遺伝子組み換え作物由来の可能性が高いですが,発がん性に関する直接的な言及はない

 これらの研究結果の多くは動物実験に基づいており,人間への直接的な影響は不明確です。また,実験では通常の摂取量をはるかに超える量が使用されていることに注意が必要

結論

 現在のところ、増粘多糖類による健康被害の実例は確認されていませんが,過剰摂取や他の添加物との相互作用による潜在的なリスクは否定できない模様です。増粘多糖類の発がん性に関しては,一部の成分で懸念が示されていますが,通常の使用量では安全性に問題無しと考えられているようです。ただし,長期的な影響については明確になっていないことから,やはり,避けられるなら避けるという方針が良さそうです

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